柳楽優弥ファンブログ跡地
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[海辺のカフカ]
海辺のカフカ (上)
な、なんと、私はこれが初村上春樹でございます。
何せずーっとミステリー中心で読んできて、
ここ2年ぐらいでミステリー以外を読むようになったので
「今から村上春樹っていうのもなぁ」と手をつけずにいたのです。
でも。
私が今一番好きな作家さんである「伊坂幸太郎」さんが
いたるところで「村上春樹っぽい」と言われているので、
伊坂さんが好きってことは村上春樹もハマるかもと思い
今回挑戦。
15歳の少年の、家出という“実際の「旅」”と心の葛藤という“内面の「旅」”を描く章と
子供の頃の不思議な体験から読み書きができなくなる代わりに猫さんとしゃべったり
できるようになった“超能力”持ちのナカタさんのロードムービー的な章が交互に出てくるスタイル。
読んでまず思ったのは、やっぱり初期、もしくはピーク時の小説から読めばよかったかなぁと。
大抵の小説家っていうのはやっぱり「皆に読んでもらいたい」「皆から評価されたい」って
いうのがあると思うので、突飛な設定だったりキャラクターを出したりしてもどこか読者が共感
しやすい作りにしてると思うんです。
でも、ハルキさんはもうそういう時期を過ぎてしまった。
皆に読んでもらえてるし、評価ももらってる。
そうなると、皆のため、というより、とにかく今自分の書きたいものを書く、という方向になるのかなと。
ということで、初ハルキの私はちょっと置いていかれてしまった感が強いです(笑)
でも確かに伊坂さんとハルキさんの作風は似てる。
常に音楽があることと、現実からちょっと浮遊している感じが。
でも伊坂さんが「地上から5cm浮遊している」のだとすると、この本は50mぐらい浮遊してそう。
や、SF的な浮遊はあってもいいんですけどね。
会話も現実から浮遊しちゃってるのが私の中で消化できず。
15歳の少年が「メタファーがうんぬん」と語ってるのがリアリティなさすぎて。
思考として「メタファーが……」っていうのはアリだと思うんですよ。
でも口にだして日常会話でそういう言葉のやりとりするのはちょっと違うんじゃないかと。
それゆえ、主人公である15歳の少年の章よりも、ナカタさんと途中から同行する星野青年の章の方が
おもしろかったんですよね。
ナカタさんと星野青年のまっすぐな言葉の方が響いてきました。
うん、多分、私の理解力がないだけだけど(笑)
とはいえ、特に上巻の後半ぐらいは「うわ、この2つの章がどういう風にクロスしていくんだろう」って
興味でグイグイ読めました。
この「グイグイ感」は久々だったので、やっぱり上手いなぁと。
多分、ハルキさん的世界自体は嫌いじゃないので、ハルキさんの中でも評価が高いイメージのある
「世界の終わりと~」を今度読んでみようかな。
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